Topics & Lifestyle 空閑晴美 コラム

APICIUS

フレンチレストランの名店、アピシウスで教室の食事会をしました。
ブッフェのパーティやワイン会は催してきましたが着席での食事会は3年ぶり、村上開新堂以来でした。
今回の企画はシェフソムリエの情野さん、メートル・ドテルの永井さん、両氏との長いお付き合いから実現しました。
旧知の友人のお二人にメニュー作りからワインまですっかり安心してお任せしました。
43名の出席者でメインダイニングは満席、君嶋屋の君嶋さん、池商の池田さんにもご出席頂きました。

ジャクソンのシャンパーニュで乾杯をして食事がスタートしました。
アミューズに続いてフォア・グラ、そして今回私が一番皆様に味わって頂きたかった海亀のコンソメスープが供されました。
このスープを常時味わえるのはアピシウスだけ、小笠原産の海亀です。
魚料理はカサゴのポアレ、素晴らしいソースがコンドリュ、ヴィオニエ種のワインとお互いに引き立てあって印象的な一皿でした。
メインコースはアピシウスが得意とするジビエ、今回はコルベール、青首鴨のロティでした。
ワインはマジ・シャンベルタン、まさにこれこそがフランス料理の素晴らしさですね。
そしてモン・ドール、デセール、ミニャルディースと続きました。
デザートワインはロワールのボヌゾー、出席された方々も皆様満足の様子、私も心からほっとしました。

グラン・メゾンでの食事は特別な事です。
料理、ワイン、サーヴィスすべてを愉しみ、過ごす時間はただ空腹を満たすためではありません。
私にとってはコルドンブルーやワインスクールより濃密で実践的な学校でした。
どれだけ多くのことを学んだでしょうか?
それらのすべてが今の私の仕事につながっています。

そしてグラン・メゾンの格にふさわしい客になるためにスタートは35年ほど前になるでしょうか。
オークラや帝国ホテルで頂いた小野シェフや村上シェフの正統フランス料理、並木通りにあったレンガ屋で頂いた若き日のポール・ボキューズのブッフ・ブルギニョン、小川軒のビーフコンソメ、マキシム・ド・パリでメートル・ドテルの魔法のような手で作られるクレープ・シュゼットなどなど・・
東京にフレンチレストランなど数えるほどしか存在しなかった時代です。
そこで受けた感動は味覚の記憶と共にかけがえの無い思い出です。
その頃欲しくて、欲しくて、苦労して取り寄せたエスコフィエの分厚いフランス料理の本は難解でその後余り開かれる事はありませんでしたが、レストラン通いは続きました。
そしてようやく私自身このような会を催す立場になれた事がうれしく、改めてもう閉店してしまった名店のことなど懐かしく思い出されます。